コラム「矯正と読書」
カテゴリー:コラム  2015/10/07

第一東京弁護士会60期
弁護士 山本 真里江

 最近、今年の直木賞受賞作品「流」を読みました。

 小説を読んだのは本当に久しぶりだったのですが、これがすごく良い小説でした。

 

 20代後半くらいから私は目を酷使すると3か月に一度くらいの頻度で激しい偏頭痛に見舞われるようになりました。そして一度偏頭痛になると3日間は絶食を余儀なくされるのです。それで本を読むのが怖くなり、仕事以外では本を読まなくなりました。

 ところが、昨年から歯の矯正を始め噛み合わせが治った途端、偏頭痛がぱったり出なくなったのです。噛み合わせがこれほど体に影響しているとは・・・なぜもっと早く矯正しなかったかと悔やんでも悔やみきれません。

 

 しかし、ともかく偏頭痛から解放されたおかげでまた小説が読めるようになり、話題になっていた「流」を読み始めることにしました。

 戦中戦後の台湾を舞台にした物語で、登場人物たちは皆生まれ落ちると濁流のような時代の波に呑み込まれ流されていくのですが、その中にあっても、痛みも恨みもイデオロギーも超えて、愛をもってその流れに抗い、正しさや信念を貫く資質と強さを持っているのが人間なんだと高らかに謳っているようで、読み終えた時は体の中を風が抜けていったような爽快感を得られる小説でした。

 また物語ではありますが、台湾の歴史や当時の様子を知ることもできました。日本のお隣で東日本大震災の折には、一番に義援金を送ってくれた国であるにもかかわらず、申し訳なくも無知でよく知らなかったのです。

 

 月並みですが、読書っていいな、健康ってありがたいな、としみじみ感じ、矯正の先生に心から感謝している今日この頃です。