コラム「シェークスピア」
カテゴリー:コラム  2015/02/28

横浜弁護士会 41期
弁護士 三木 恵美子

 全集37巻を完訳された小田島雄志先生の本を、井上ひさしが「さっぱりとしてきれいな小型の、ポケットにも楽に入るような本だが、内容的には地球が丸ごと入るくらい広くて深い。」と書いていたのに気がついた。先生は、「太地喜和子を観ろ。」「木の実ナナに会わせてやる。」とおっしゃった記憶ばかりが強烈だったが、思えば、こんなすごい碩学に、18才で山から出てきたばかりの教養学部1年生が英語を習っていたのだ。

 当時の学費は半期4万8千円、それでも学費免除を受けていた。そういうありがたい扱いを受けると、本人の性格如何に関わらず、すこしは人のためになる仕事をしたいと願うようになり、弁護士を目指した。

 司法試験に受かった後は修習生というものになるが、授業料はなし、研修期間の生活は給費されていた。給費を受けると、やはり、自分の学力と親の経済力だけで法曹になったのではない、まわりの人が納めた税金で学ばせてもらったのだという自覚が生まれる。

 現在、司法修習生の給費制は打ち切られてしまった。その結果、法曹の作風が変わるのではないかと懸念している。