コラム「着物で法廷に立つ?」
カテゴリー:コラム  2014/09/04

東京弁護士会
弁護士 紙子 達子

 NHKの朝のテレビ番組「花とアン」や「ごちそうさん」の主人公や物語に登場する女性がきれいに着物を着ている姿をいつもうらやましく見ています。着物の着方や柄、帯の結び方など、場面によって違うところが勉強になります。台所で炊事をしている時、掃除をしている時、学校での着方、仕事場に行っている時、社交の場でなど、場面による着物自身の違いや着方の区別、帯の結び方の違いなど、背景の、そのときの女性の置かれた立場ととも興味深く見ています。

 私は1974年4月から弁護士として裁判所に通い始め(?)ましたが、当時は着物で法廷に立つ女性の弁護士先生がいらっしゃいました。着物の弁護士先生とご一緒に事件を担当したこともあります。男性弁護士はみな背広。私から見ると、この頃は特に女性も修習生はみな一律に黒っぽいスーツにきちんとブラウスを着ているという印象ですが、当時は女性の修習生も弁護士も服装は今より質素ではあったものの、自由で多彩だったと思います。もちろん最近は斬新で素敵なデザインの方も多く見かけますが。

 それまでまったく着物を所持さえしたことがなかった(そもそも体型からして和服が似合わないと言われていた)私ですが、60歳にならんとした時、娘の結婚式で必要だったことを機に、一気に着物に興味がわいてきたのです。普通にすっと着られるようになりたいと、着付けの勉強を始めました。ところが、カルチャーセンターの着付け教室に入ったが見事に落第。若い人の中で目立って覚えの悪い、教え甲斐のない生徒に先生は苛立っていました。その後運良く仕事関係で知り合った先生に家庭教師になっていただいています。相変わらず覚えが悪く、何年かかってもきれいな着物の着方のこつや帯の結び方を習得できず、それでもやさしく(本心は哀れみをもって?)「弁護士さんだからお忙しくて時間がないから覚えることが難しいのよね。」と、苛立ちせず「理解」してくださって、おかげさまでかろうじて着付けの勉強を続けられています。この夏は猛暑でしたが初めて絽の着物をなんとか格好がつく着方で着ることができ、町を歩けました。いくらか勉強の成果がでました。

 着物は、着物の生地や柄の選択から、帯はもちろんのこと、帯揚げや帯締め、襦袢の襟、足袋や草履・下駄などの履き物まで、いろいろな組み合わせがあり、昔からのしきたりもあるようですが、しかしそれはなるべく安価でおかしくない程度に対応することで勘弁してもらうと、結構楽しく遊ぶことができます。おもしろいのは、着物と帯や小物の組み合わせは、洋服の場合の組み合わせとまったく違ってくるということです。洋服ならとても合わせられない色の組み合わせが、着物の場合は素敵な組み合わせになることがよくあります。

 いつか法廷に着物で立ち仰天されることを夢見ながら、相変わらず姿見の前で汗びっしょりになって勉強しているところです。