女性弁護士による講演会、法律相談

2011年11月26日
鹿士 眞由美(弁護士)

 平成23年11月26日(土)、四谷のプラザエフにおいて、財団法人主婦会館と日本女性法律家協会の共催により、講演会と無料法律相談が開催された。

 講演会は萩谷麻衣子弁護士により「離活~離婚への道のり」というテーマで行われた。

 当日は、一般の参加者が25名程度あり、講演会に引き続いて6名の弁護士による無料法律相談会が行われ、18組の相談者があった。また、会場受付では、できあがったばかりの女性法律家協会編集の「くらしの法律Q&A」(新日本法規)の販売も行われた。

 講演に先立ち、曽田多賀会長からのご挨拶があり、司会の加々美光子副会長から講師の紹介がなされた。

 講演は「2分に1組の割合で離婚している現状がある」とのお話から始まった。講演の概要は以下のとおりである。

 昨年1年間で25万組以上の夫婦が離婚しており、離婚したい理由の第1位は男女ともに「性格の不一致」ということである。夫側の離婚の理由は以下2位が異性関係、3位性格異常、4位性的不調和、5位浪費であり、妻側は2位夫からの暴力、3位異性関係、4位浪費、5位性格異常である。性格の不一致とは、金銭感覚、生活習慣、親との関係、子供の教育方針など、いろいろなものの違いを指している。

 離婚の手続きとしては、当事者間での話し合いによる協議離婚が最も多く、それができないときは、調停、裁判という手続によることになる。裁判を申し立てるのは男性が4割、女性が6割である。

 調停では男女1名ずつの調停委員が、妻と夫から交互に話を聞いて、話し合いによる解決を図る。調停はあくまでも話し合いであるので、一方がどうしても離婚したくないと言えば調停は不成立になる。その場合に、離婚したい当事者が裁判を起こすことになるが、裁判になったからといって必ず離婚になるわけではない。民法770条1項に規定されている離婚原因のどれかに当てはまらなければ離婚は認められない。

 まず、不貞行為であるが、これは最高裁によれば「配偶者のある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」というのである。性的関係があったことを証明しなければならず、この証明は難しい。調査会社に調査を依頼することもあるが、費用がかなりかかってしまう。離婚の相談では最も多く、最近ではメールで発覚することが多い。講師の経験では、夫のメールを妻が自分の携帯電話に転送するように設定したり、夫がいつもメールを見ている椅子の後の壁に隠しカメラを仕掛けてメールの内容を撮影したという依頼者もあった。

 そのほか民法の規定する離婚原因としては、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、そして婚姻を継続しがたい重大な事由である。

 婚姻を継続しがたい重大な事由としては、まず、暴行・虐待が挙げられ、これには言葉の暴力も含まれるが、暴力を受けた側が証明しなければならず、客観的な証拠(診断書等)が必要である。そのほか、仕事をしない、多額の浪費、多額の借金、犯罪行為、強度ではないが精神病で家庭生活を営めない、正当な理由のない性交渉の拒否、過度の宗教活動、親族との不仲、長期間の別居などがあげられる。単に性格が合わないというだけでは離婚理由にはならない。

 浮気をした方(有責配偶者)から、離婚請求ができるかについては、別居期間が長く、未成熟子がおらず、相手方が経済的にきわめて困窮する状態におかれるようなことがない場合には認められることがある。このような場合は、離婚は認められても、有責配偶者は慰謝料を支払わなければならない。

 離婚の場合、どのような条件を決めるかというと、(1)子供の親権者、養育費、面接交渉、(2)財産分与、年金分割、(3)慰謝料である。

 まず、子供の親権者は、子が小さいときは妻になることが多いが、子が10歳を超えると子の意見を聞くことが多い。裁判所では、子がどういう状態にあるかを重視し、現状が平穏に生活しているのであればそれを尊重するので、親権を取りたい場合には、子供を手放してはならない。兄弟姉妹がいる場合には、裁判所は別々の親権者を指定することはしない。養育費については、いわゆる算定表によるが、収入がなくても働ける状態であれば賃金センサスを使って算定することもある。養育費が途中で支払われなくなったときは、家庭裁判所に履行勧告をしてもらうことができるが強制力がないので、支払いがされない場合には、給料差押など強制執行をすることになる。給料差押には、相手の勤務先がわからなければならず、面接交渉などもしておいた方が把握しやすいと言える。

 さらに、面接交渉については、月に1回程度という決め方をすることが多いが、具体的に決めておいた方が実施される可能性が高い。

 次に財産分与であるが、婚姻後に夫婦で形成した財産を原則として2分の1ずつ分けるのであり、離婚原因とは関係ない。夫が医師などの高額所得者であって、妻が専業主婦であるという場合であっても、2分の1とする例が多くなっている。財産分与の基準は、別居時にある財産を現在の価値で評価して分ける。退職金は退職が近い場合には婚姻期間に相当する分が対象となることがある。退職まで8年ないし10年くらいの期間があるときには、1部上場企業など退職金の支給が確実と考えられる場合には、現在退職したらいくらもらえるかの金額を出して、それを分けることもある。

 夫が会社を経営している場合、会社の資産は個人の財産とは別であるが、個人経営と変わらない場合には、夫のものと同視して財産分与の対象となりうる。

 年金分割は厚生年金、共済年金に加入している場合に婚姻期間に応じた部分を分けるもので、割合は2分の1で分けるのが通常である。内縁関係の場合にも年金分割が認められることがある。

 離婚後の生活費は元の夫に請求することはできないのが原則であるが、高齢や病気であるという事情がある場合には、一定の期間扶養料の支払いが認められることがある。

 慰謝料は相手が離婚原因を作ったときには請求できるが、不貞行為により離婚に至った場合でも300万円位であり、相当長い間不貞関係が継続していたとしても、500万円を獲得するのは難しい。

 以上のような講演のあとで、質疑応答の時間が設けられ、相手の財産をチェックする方法や、相手が出て行ってしまったときの住所の確認方法、弁護士費用などについて質問がなされた。

 その後、無料法律相談が実施され、予約の15名を超えて当日3名を加えて18名の相談がなされた。相談内容は講演テーマに関連していたと思われる離婚問題が最も多かった。

 今回のようなプラザエフとの共催の講演会は初めての企画であったが、参加者は皆さん熱心に講演を聞いていた。また、法律相談の予約も事前に一杯となったため、当日急きょ担当弁護士を増やして対応した。このような講演会は今後もいろいろなテーマを取り上げて継続的に行われればよいのではないかと思った。

 

当日のプログラム

» 11月26日(土) 女性弁護士による講演会(講師:萩谷麻衣子弁護士)・無料法律相談会のお知らせ